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中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインとは?

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~中小企業ではどこまでの対策が求められているのか!求められる理由と範囲を解説~

 

“蓄積されたノウハウを活かし、最適なシステムをトータルサポート”として様々なソリューションを提供している住友電設情報通信システム事業部が、製造業等に向けて様々な情報をお届けしたいと思っております。

今回は中小企業のサイバーセキュリティとそのガイドラインについて解説したいと思います。昨今は中小企業でも工場のIT化によって様々な機器がオンライン化されメーカーのみならずサプライチェーン全体がネットワークに繋がるようになってきています。それ以外にも働き方の多様化によって社外で仕事をする機会も大幅に増えました。そのような環境に中でプログラミングやネットの進化やAIの登場でサイバー攻撃の高度化と頻度の上昇が顕著になってきているのでサイバーセキュリティ対策の重要度が非常に高まってきています。

 

■目次

  1. サイバーセキュリティ対策の必要性とは?
  2. 中小企業における情報セキュリティ対策ガイドラインとは?
  3. 実際のサイバーセキュリティ対策と実施方法について解説
  4. 経営者が担うべき責務と役割
  5. ガイドラインの改正点から知る現状の動向
  6. 官公庁やその他の主な政策
  7. まとめ

 

  1. サイバーセキュリティ対策の必要性とは?

◆サイバーセキュリティの必要性

サイバー攻撃とは、コンピュータネットワークや情報システムに対して、不正にアクセスしたり、データを破壊したり、システムを麻痺させたりする行為を指します。その目的は、金銭的な利益を得る、企業の活動を妨害する、あるいは単なるいたずらなど、多岐にわたります。

総務省が発表している不正アクセスの認知件数は令和3年に一旦下がったものの令和4年から5年にかけて約3倍に増加し、令和6年は少し下がっています。

※一般個人の不正アクセスも含まれています。

出典:総務省「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」

https://www.npa.go.jp/news/release/2025/R070313_access.pdf

 

これはあくまでも認知件数(警察等に届け出があったもの)のみなので実際はこれの数倍の不正アクセスがあると思われます。

サイバー攻撃はAIの進化と共に複雑さや巧妙さが増しているので今後もサイバー攻撃は増えることが予想されています。しかもDX化が進むに連れ大企業とそのサプライチェーンや取引業者間がインターネットに繋がったり、eメール等を使ったやりとりをしている限りサイバー攻撃の脅威は続くことになります。特に大企業は資金もあるためサイバーセキュリティ対策をしているので、その大企業への入り口として中小企業が狙われる可能性はますますます高まっているので、中小企業のサイバーセキュリティの重要性が今後ますます高まっていくことになります。

 

そこでサイバー攻撃を受けることでどのような被害や損害が発生するかについてお伝えします。サイバー攻撃は常に進化していていつ自分たちも被害者や加害者になってしまう可能性があることを意識してどのような被害や損害、影響が発生するかを認識してください。

  • 情報漏洩: 個人情報、顧客情報、企業秘密などの漏洩によるブランドイメージの低下、顧客からの信頼喪失
  • システムダウン: 業務システムの停止による生産性低下、売上減少
  • データ破壊: 重要なデータの消失による復旧費用、ビジネス機会の喪失
  • 金銭的な損失: 身代金の支払い、システム復旧費用、法的な責任
  • 法的責任: 個人情報保護法などの法規制違反による罰則

 

最近でも大手メディア企業がランサムウェア攻撃を受けて顧客情報を人質として身代金を要求される事例が発生しニュースをご覧になった方もいるかもしれません。これも子会社の攻撃から始まった事例です。2023年までの顧客情報の流出は元従業員や委託社員等の故意又は過失から起こったものが多かったのですが2023年以降はランサムウェア攻撃によってシステム内に侵入され気が付かないうちに情報が流出していた事例が増えています。


セキュリティ対策ソフト大手のトレンドマイクが2023年に発表した「サイバー攻撃による法人組織の被害状況調査」では、累計被害額の平均は12528万円となっていて、ランサムウェア攻撃では平均17689万円となっています。

 

出典:株式会社トレンドマイクロ「サイバー攻撃による法人組織の被害状況調査」

https://www.trendmicro.com/ja_jp/about/press-release/2023/pr-20231101-01.html

 

これは直接的な被害ですが、サプライチェーンや親子企業関係で起こった場合は、操業停止や業務が止ることでの売上の被害も増えることになります。また個人情報が流出することで、流出された個人が被害にあることもあり得るので、サイバー攻撃による被害はさらに大きくなる可能性が大きく、自社だけでなく個人や取引先にも影響を与える可能性が高いのでサイバーセキュリティ対策の優先順位はかなり高くなると思います。

JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の2023年発表の調査では、ランサムウェア攻撃によりデータが失われ(盗み取られ)情報を回復できた組織は50%しかなく半数はデータを失ってしまっていますのでその被害は甚大です。

 

◆なぜサイバー攻撃が危険なのか?

サイバー攻撃に合うことでどのようなリスクが存在しているのかを知ることが重要です。主に以下のようなリスクが存在します。

  • 情報漏洩

サイバー攻撃による情報流出や企業秘密、顧客情報などの漏洩は、企業の信用失墜に繋がり、多大な損害をもたらします。また最近は大手企業のサイバーセキュリティ対策が強固になったことで、大手企業にネットワークで繋がっている中小企業を入口にするための中小企業向けの攻撃が急増しているので今や「大手企業がすること」ではなくなっています。一旦流出した個人情報はダークウエブなどで共有されることがあり、そのことで出た被害に関して損害賠償請求が発生する可能性があります。また大手企業への入り口として攻撃され波及した場合には、その企業からも損害賠償を請求される可能性も0ではありません。

  • システムダウン

サイバー攻撃によるシステム障害等で業務を止める必要性があると事業停止による生産性低下は、売上減少や信用不安による顧客離れに直結します。

  • 製品の品質低下

サイバー攻撃によって知らない間に製品設計データを改ざんなどされると、製品の安全性を損なう可能性があり、企業の社会的責任問題に発展する恐れがあります。

  • ランサムウェア攻撃

近年増加が激しいランサムウェア攻撃は、ネットワークに侵入後にデータを暗号化され、復元のために身代金を要求される攻撃です。顧客情報や個人情報がある場合、対策をしている間は企業活動を麻痺させられるので経済活動が止まることもあります。また、身代金を支払うと直接的な金銭被害もあり得ます。

◆被害例

最近でも、流通大手のアスクルや飲料メーカーのアサヒホールディングスがサイバー攻撃を受けて流通がストップするなどの被害が発生しています。

被害事例としてランサムウェア攻撃を受けた岡山県精神科医療センターが事案調査報告書が公表され、その内容は中小企業にありがちな内容でした。そのため中小企業の参考になる内容だと思いますので少し内容をお伝えいたします。サイバー攻撃を受け、侵入を許したことで事業活動が止まり個人情報の流出の可能性もある事案です。実際の侵入の手口やセキュリティ対策の課題が見えてきますので是非参考にしてください。

※出典:地方独立行政法人 岡山県精神科医療センター 「ランサムウェア事案調査報告書」https://www.popmc.jp/wp-content/uploads/2025/02/24bb9b94f7eb10eff58b605c01c384ad.pdf

 

この攻撃では、病院内の電子カルテが使用できなくなり紙のカルテに切り替えることで診察自体はできていましたが、完全復旧には3か月を要し、復旧作業のために費用も掛かっています。また個人情報の漏洩(最大40,000人)が疑われたため、流出の可能性のある方への郵送への通知や相談窓口の設置などを行っています。このような対応もコストのかかることでもあります。報告書の時点では悪用された事例は見られていないものの、万が一悪用された場合の損害も想定されます。

実際にサイバー攻撃を受け、その回復までも流れや対応が記載されており大変参考になりますので是非確認をしてみてください。

 

◆サイバーセキュリティ対策の重要性

上記のようなリスクを踏まえて対策が急務なサイバーセキュリティ対策ですが、対策を行う上では人的・費用的なコストが必要になります。しかし最近のサイバー攻撃を鑑みると事業活動への重要性は増しておりその内容は以下のようなものです。

  • 企業の品格向上

顧客情報保護への取り組みは、企業の社会的責任を果たす姿勢を示し、ブランドイメージ向上に繋がります。

  • 製品の品質保証

製品開発におけるセキュリティ対策は、製品の信頼性を高め、顧客満足度向上に貢献します。

  • 事業継続性の確保

サイバー攻撃に備え、事業の継続計画を策定することで、リスクを最小限に抑えることで事業の安定性を社内・社外に伝えることができます。

  • 法規制への対応

個人情報保護法などの法規制への遵守は、企業の社会的責任や金銭的な被害から企業を守る上で不可欠です。

 

例えば自動差産業はグローバル展開をしていることもあり、独自でセキュリティガイドラインを発表しており、自動車産業に携わる場合は遵守を求められます。

このように事業活動を行っていくうえで一定のセキュリティ対策の仕組みがあることを求められる状況は今後も加速していく可能性が高いですので事業拡大のためには必須とも言えます。

 

◆社内の状況把握

サイバーセキュリティ対策を成功させるためには、まず自社の現状を正確に把握したうえで、最適なシステムの構築とそれを維持管理していくための適切な人員を確保・育成していく必要があります。

 

◆現状把握

  • リスクアセスメント

自社が抱えるサイバー攻撃のリスクを洗い出し、発生の程度と発生時の被害度を定め重要度を評価し対策の優先順位をつけることです。

  • セキュリティ体制の現状分析

既存のセキュリティ対策がどの程度有効に機能しているか、理想と現実のギャップを明確にします。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」というチェックリストが出ていますので一度確認をしてみてはいかがでしょうか・

参考情報:IPA 「5分でできる!情報セキュリティ自社診断

 

  • 従業員のセキュリティ意識調査

どんなに強固なシステムセキュリティ対策を行っても、従業員のちょっとしたミスで対策が無になってしまうことがあります。むしろ従業員一人一人のルールの順守やモラルの向上が実は最も重要で最も難しいポイントです。リスクを洗い出すうえでは、従業員のセキュリティに関する知識や意識レベルを把握してください。また人員確保の上でも参考になります。

つまり自社の従業員の意識や利便性を加味してセキュリティ対策を実施しないと実は機能しないことも多くあります。例えばセキュリティ対策としてアプリを申請制を作ってもわざわざ面倒なので個人携帯で行い、個人携帯から流出してしまうということもあります。対策を強固にすると引き換えに手間が増えることが多いので、実際に利用する従業員のリテラシーや慣れに合わせて段階的に行っていく方が上手くいきやすいと思います。

 

◆人員確保・育成の方法について

セキュリティ対策を行っていくうえでは専門人材を確保するか、既存人材の育成も必要になっていきます。下記のような対応を検討してください。

  • セキュリティ専門家の採用

高度な専門知識を持つセキュリティ人材を確保できるのがベストです。ただし、専門知識を持つセキュリティ人材は日本国内では不足気味です。採用強化などを行っていく必要があります。経済産業省が人材確保の手引きを2022年6月に第2版を発表していますので参考にしてみてください。

 

参考情報:経済産業省「サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引きVer2

 

  • 従業員へのセキュリティ教育

全従業員を対象としたセキュリティ教育を実施し、セキュリティ意識の向上を図ります。セキュリティ強化には一定の不便さが伴うことが多い取り組みです。それを実際に実行できないとそもそも意味がなくなるので実行性の確保が重要になります。そのためにも従業員への教育は一度で終わらず継続的に行っていくことが重要です。

 

  • 外部専門家との連携

必要に応じて、外部のセキュリティコンサルタントやベンダーに相談し、専門的な知識や技術を活用します。人材確保を前提にしているとサイバー攻撃対策が後手に回り自社のみならず顧客や取引先への影響も懸念されるので、まずは外部の専門家に相談することも重要です。そのうえで外部専門家と共に選抜した社員の教育や育成を行っていくのも一つの方法です。

セキュリティ対策では今までのやり方を変える必要が多く、一定の部分で従業員からすると「不便になった」「仕事がやりにくい」と感じることが多いです。そのような変更を社内だけで行うと怒りの矛先が社内の取り扱い部署に集中してしまいます。社外専門家や社外人材を使うことでその矛先を社内から切り離す(「社外の専門家が言っている」ということで推し進める)ことで対策が進めやすくなる側面もあります。

 

  1. 中小企業における情報セキュリティ対策ガイドラインとは?

中小企業でもセキュリティ対策を構築していく必要性はご理解いただいたと思います。とはいえ、どのように進めればよいのかわからないという場合に役立つのがガイドラインです。中小企業向けの情報セキュリティ対策ガイドラインは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定したもので、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組む際の指針や具体的な手順、手法がまとめられています。このガイドラインは、中小企業が抱える特有の課題や環境を考慮し、経営者や従業員が実践しやすいように、分かりやすい言葉で解説されています。

 

参照:独立行政法人情報処理推進機構「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン3.1

https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/000055520.pdf

 

ガイドラインにも記載されていますが、まずは“できるところから始める”ことが大事です。

ガイドライン21ページに『【表5】自社診断のための25項目』というチェックリストがありますのでまずは自社の診断から始めてはいかがでしょうか。

実際にサイバー攻撃の被害にあった事例でもあるとおり、基本的なことを徹底して行うこと、徹底できているか管理する仕組みを構築することがポイントです。デジタルには疎いからよくわからないと考えず、基本的なポイントを意識してとにかく実行することです。やる気が出るからできるではなく、やるからやる気が出るのです。とにかく手を付けましょう。

 

このガイドラインの目的は、中小企業が自社の情報資産を漏えい、改ざん、消失などの脅威から守り、事業の継続性と信頼性を確保することです。また、サプライチェーンや取引先とのネットワークで繋がっていることもあり取引先に対しての防御ラインとしても考える必要があります。

近年のサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、中小企業も例外なくその脅威にさらされています。特にサプライチェーンとしてネットワークに繋がっている場合などは大手企業への攻撃に入り口としての不正アクセス等が実際に起こっています。このガイドラインは、そうした状況に対応するために、中小企業が最低限実施すべきセキュリティ対策が提示されています。

 

  1. 実際のサイバーセキュリティ対策と実施方法について解説

サイバーセキュリティ対策を実行していくための具体的な対策としては、以下のものが挙げられます。

  • 技術的な対策
  • ファイアウォール

ファイアウォール(Firewall)とは、企業などの社内ネットワークにインターネットを通して外部から侵入してくる不正アクセスや、社内ネットワークから外部への許可されていない通信から守るための防火壁のことを指します。ファイアウォールはネットワークへの不正アクセスを防止します。より高いセキュリティを保てるよに付加機能を持っているものが多く、様々なネットワークに柔軟に対応できるようになっています。しかしこのファイアウォールを突破するのがサイバー攻撃で、そのための対策が高度化してきています。常に最新の情報と最新の機能を維持するための体制作りが重要です。

 

  • IDS/IPS

IPS(Intrusion Prevention System/IDSIntrusion Detection System)とは通信の監視および管理者への通知、不正な通信の遮断を行うセキュリティシステムのことです。IDSは「不正侵入検知システム」と呼ばれ、通信の監視と管理者への警告を行うシステムのことです。IPSは「不正侵入防止システム」と呼ばれ、IDSの機能に加えて、通信の遮断までを行うシステムのことです。ネットワークへの不正なアクセスを検知して知らせたり遮断することで攻撃の影響を最小限に抑えるためのものです。

 

  • VPN

VPNとは”Virtual Private Network”の略称で、日本語にすると「仮想専用通信網」と呼ばれます。VPN接続では、専用ネットワークとは言いつつも物理的な専用回線を用いるのではなく、「仮想」専用通信網というように、共用の回線を諸々の技術によって仮想的に独立した専用回線であるかのようにしているものです。コロナ過でのリモートワークの増加によってパブリック回線からの不正アクセスから切り離すために普及が拡がった方法になります。

 

  • WAF

WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃へ対するセキュリティ対策のひとつで、Webアプリケーション内に直接実装するものではなく、Webアプリケーションの前面やネットワークに配置し、脆弱性を悪用した攻撃を検出・低減する対策のことです。WAFは直接管理・改修することができないWebアプリケーションに対策を施したい場合や、Webアプリケーションの脆弱性を修正することが難しい場合に有効になる手法です。それ以外には、修正は可能だが、時間が掛かるために一旦対処を施す場合にも役立つ方法です。

 

  • 暗号化

暗号化とは、元のデータや通信内容を不規則な文字列に変換する処理のことです。暗号化することで暗号キー等がない限り仮に個人情報が流出したとしても、データはランダムな文字列で表示されるため、第三者による解読や悪用を防止できます。パスワード等の暗号化や2段階認証以外は、セキュリティー対策としては、侵入や流出された時に被害を軽減する目的が主なもので、対策根本的な対策ではないので、それ以外の対策を並行して進める必要があります。

 

  • 組織的な対策
  • セキュリティポリシーの策定

HP等で社外的に表示してあるものもあると思いますが、自社の情報セキュリティに関するルールを明確化することです。HPのセキュリティポリシーはその中の一部ですので、まずは全社的なポリシーを作ることが重要です。

 

  • 従業員教育

サイバー攻撃はセキュリティの脆弱な部分をつくのがセオリーです。どんなにシステムを強固にしても最後に人が脆弱な部分になってしまうことが多いです。セキュリティの導入の際の教育とその後の定期的なセキュリティ教育を実施し、意識向上を維持していくことが最も重要です。

 

  • インシデント対応計画

サイバー攻撃は手法がどんどん高度化してきています。いつ何時自社に影響があるかわかりません。そのため、常に万が一発生した場合に備えて、対応手順を事前に定めておきます。またその内容も現状に合わせて常に改善をしておく必要があります。リスクマネジメントとクライシスマネジメントに分けて対応計画を事前に決め、訓練をしておくことが重要です。

 

  • 定期的なセキュリティ監査

システム上のセキュリティ対策が適切に実行されているかの定期的な監査を実施します。それ以外にもインシデント対応計画に基づいた対応が実行できるかも監査しておくと万が一の際に安心です。これは企業の避難訓練と同じようなものなので、あまり頻度が多かったり時期が一定だと効果が薄れることもあるので慣れすぎず、対応には慣れるように計画をして実行することが重要です。

 

  1. 経営者が担うべき責務と役割

ガイドラインのはじめにも記載されていますが、サイバーセキュリティ対策は経営者の認識から始まります。現在の情報セキュリティ対策は、もはやIT部門だけの問題ではありません。なぜなら、IT部門の責任範囲である機器やシステムの選定や維持管理ではなく、本当の脅威は従業員一人一人の意識にあるからです。従業員一人一人が高い意識を持ってセキュリティ対策の重要性を意識し、万が一の場合の経済的損失だけでなく、積み上げてきた会社の信頼性を行うことになることを自分事としてとらえていく必要があります。そのためには、経営者自身が情報セキュリティに対する意識を高め、組織全体で取り組む意思を表明することが不可欠です。

経営者がセキュリティ対策を実施していくためには主に以下のような手順が必要となります。

  • 情報セキュリティ方針の策定

 組織の情報資産や関係先とのネットワークで状況等の現状を把握したうえでサイバー攻撃を防ぐ重要性を認識し、情報セキュリティ方針を策定します。

  • 責任者の任命:

情報セキュリティ対策の責任者を任命し、責任と権限を明確にします。この場合に今までのIT担当者だけに任せるのではなく、全従業員に対して実施すべきこともあるので、それに見合った職責や権限を持っている人を責任者にする必要があります。

  • 従業員への教育:

全従業員に対して、情報セキュリティに関する教育を実施し、意識向上を図ります。意識向上は1回実施するだけでは達成できません。できる限り継続性を持たせた教育体制を構築することが重要です。

  • 予算の確保:

情報セキュリティ対策に必要な予算を確保します。予算の確保に関しては、補助金や助成金で使えるものもあるので、政府や自治体の情報を収集し予算として考えることでできる事が増えます。また、セキュリティ対策は費用を掛ければかけるほど強固になりやすいのですが、中小企業では使えるリソースも限られます。実施する内容を決めるためにも先に予算が決まっている方が優先順位を付けやすくなります。

  • 外部との連携

情報セキュリティに関する専門家や外部機関と連携し、最新の脅威情報を入手し、対策を講じます。サイバー攻撃は日々進化するほど変化が激しいです。またそれに伴ってサプライチェーン内のガイドラインや法律なども更新されていきます。常に最新の情報を得るためには上手く外部の専門家等を活用することを予め検討してみてください。昨年度の補助金から専門家への支払いの補助対象経費に含まれるようになっています。社外の有効活用を決められるのも経営者だけです。

 

サイバーセキュリティ対策には終わりがありません。常に継続して行っていく必要があります。また、費用が掛かる対策もあるため、一担当者だけで決めて進められるものでもありません。経営者が率先して関与することでスムースに対策が進んでいきます。必要があれば外部専門家に相談・依頼するなども重要になってきます。

 

弊社では、「サイバーセキュリティワンストップサービス」というサービスを提供しています。これはクライアントと伴走しながらサイバーセキュリティ対策についてコンサルティングからセキュリティポリシーや運用設計、インフラ構築、運用支援、さらには対応状況の評価や継続教育まで、求められるサイバーセキュリティガイドラインへの対応・推進をワンストップでご支援するサービスとなっています。

 


■サイバーセキュリティワンストップサービス動画 ※クリックでYoutube動画が再生されます。

※サイバーセキュリティワンストップサービスの活用の事例を下記のリンクでご紹介します。是非ご確認ください。


事例    :https://www.sem.co.jp/inet/result/detail/3

事例紹介動画:サイバーセキュリティ対策ソリューションで達成した効果とそのプロセス

 

  1. ガイドラインの改正点から知る現状の動向

IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインは、社会情勢や技術の進歩に合わせて定期的に改訂されています。現在は3.1となっており20193月に改正された第3班(3.0)から少しバージョンアップされています。

参照:独立行政法人情報処理推進機構「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン3.1

https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/000055520.pdf

 

最近の改訂では、以下の点が注目されています。

  • テレワークの普及に対応

3版は2019年だったため、その後の新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークが急速に普及したことに合わせ、ガイドラインでは、テレワーク環境におけるセキュリティ対策の重要性が強調されています。

  • クラウドサービスの利用拡大

中小企業は、コスト削減や業務効率化のためにクラウドサービスを積極的に利用しています。またクラウドサービス自体も国外・国内問わず多くの企業がサービスを展開しています。改定後のガイドラインでは、クラウドサービスを利用する際のセキュリティ対策についても詳しく解説されています。

  • IoTデバイスのセキュリティ

IoTデバイスの普及や高度化に伴い、新たなセキュリティリスクが生じています。

またIOTデバイスは国内・国外で製造されるものがあるので今後はカントリーリスク(特定の国に対する規制等)も考えられます。ガイドラインでは、IoTデバイスのセキュリティ対策についても言及されています。

これらの改正点から、中小企業を取り巻くセキュリティ環境が変化していることが分かります。今後も世界を取り巻く環境は変わっていきます。IOTデバイスやそれを組み込んだ機器やクラウドサービスなども今や国内だけでなく国外の製品やサービスが多くあります。コストを抑えるために海外製品を使うこともあるかと思いますが、その場合は世界情勢に影響される懸念もあります。だからこそ中小企業は、世界情勢の情報収集や最新のガイドラインを参考に、現在最適ではなく未来最適を前提に自社のセキュリティ対策を適宜見直していく必要があります。また、今後改訂版が出てくる可能性は高いと思います。機器やソフトウエアのアップデートだけでなくこのような情報も常にアップデートしていくことが重要です。

 

  1. 官公庁やその他の主な政策

政府は、中小企業の情報セキュリティ対策を支援するため、様々な政策を打ち出しています。対策には一定の投資も必要です。そのためには政府の支援を上手く活用していくことが大事です。

 

  • 中小企業庁

中小企業庁は、IPAと連携して情報セキュリティ対策に関する支援事業を実施しています。

参照:情報セキュリティ対策支援サイト

 

  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構

経済産業省の外郭団体としてセキュリティ対策に使える補助金であるIT導入補助金の運営を行っています。

参照:「IT導入補助金2024年セキュリティ対策推進枠

 

  • IPA(独立行政法人情報処理推進機構)

IPAは、中小企業向けの情報セキュリティに関する調査研究や啓発活動を行っています。情報セキュリティやDX関連の資格やチェックリストなど実務的に使える情報を発信してくれています。情報セキュリティ対策を進めるうえでは欠かせない情報なので必ず確認してください

参照:「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン

 

  • NISC

国立情報学研究所(NISC)は、サイバーセキュリティに関する情報収集・分析を行い、その結果を公開しています。研究機関なので少し専門的な情報になっていますが、先を見通すうえでは参考になる情報もあります。

参照「国立情報学研究所HP

 

これらの機関のウェブサイトでは、中小企業向けのセキュリティ対策に関する情報が豊富に提供されています。全て網羅する必要はありませんが、必要な情報を検索して確認することをお勧めします。またインターネットで検索する際は更新日付を確認してください。補助金情報やサイバーセキュリティーに関する情報は変わることも多いいので最新の情報になっているのかの確認は必須です。

 

  1. まとめ

中小企業の情報セキュリティ対策は、もはや選択ではなく、義務と言えるでしょう。サイバー攻撃は、中小企業の事業継続を脅かす深刻な問題であり、適切な対策を講じることが不可欠です。なぜなら、自社が攻撃を受けた場合、取引先やお客様にもリスクは及ぶ可能性が年々高まっているからです。特にランサムウェア攻撃では身代金を要求されるので直接的な金銭リスクが伴います。さらに関係先やサプライチェーンが攻撃を受けても自社に波及する可能性も高まっていてまさにサイバーセキュリティ対策は待ったなしで行わなければなりません。

ITのことはよくわからないから該当部門に任せているという経営者もいらっしゃるかもしれませんが、リスクの大きさを考えると経営者自身が当事者意識を高めて取り組んでいくことがサイバーセキュリティ対策においては最も重要なことです。

IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインは、中小企業がセキュリティ対策に取り組むための羅針盤となるでしょう。経営者は、このガイドラインを参考に、自社の情報セキュリティ対策を強化し、事業の継続性と発展に貢献することが求められます。

“よくわからない”“自社には関係ないだろう”と考えず、外部専門家なども積極的に活用してでも進めていくことが大事です。現代においてはサイバーセキュリティの向上が今後の会社の利益・損失回避に直結することを理解して自社のサイバーセキュリティを高めていきましょう。

 

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