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中小企業のDX化が遅れている理由

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~DX化のことを知れば企業規模の大小は無関係。中小企業の今後の展望を握るDX化~
“蓄積されたノウハウを活かし、最適なシステムをトータルサポート”として様々なソリューションを提供している住友電設情報通信システム事業部が、
製造業等に向けて様々な情報をお届けしたいと思っております。
今回は政府からも導入・推進を求められ、企業の命運を左右するDX推進が何故日本の中小企業では遅れているのかについて取り上げたいと思います。

■目次
1.日本市場のDX化取り組み状況
2.中小企業のDX化が遅れる理由
3.製造業界の飛躍的なデジタル技術導入推移
4.今からでもできるDX化の進め方
5.DX人材の育成や外部活用
6. まとめ

1. 日本市場のDX化取り組み状況
独立行政法人情報処理推進機構による『「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ』では、DXの取組状況を2022年度~2024年度(計3年度)の日本と2024年度の米国・独を比較して表しています。



日本では2022年から2024年にかけて“DXに取り組んでいる”企業の割合が増加していることがわかります。(2022年度 69.3%、2023年度 73.7%、2024年度77.8%)この数値は非常に高水準であり、2024年度においては米国が76.8%と3%上回る結果になっています。また独(68.1%)と比較すると9.7%上回る結果になっています。しかしながら、 “取り組んでいない”企業の割合は、2023年と比較し1%上昇し、米国の15.5%に対して、日本は未だに19.9%と4.4%高い状況です。

では次に従業員規模別で確認すると各国で取組の違いが明らかになります。



日本と米国を比較すると、“全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる”企業の割合は、従業員規模が1,001人以上では日本は55.7%、米国45.2%と約10%上回っていますが、100人以下では日本15.2%に対して米国22.4%と7.2%下回っています。特に100人以下の日本企業では48%が取組んでいないと回答していますが、米国は29.2%と18.8%下回る結果になっています。独国と比較すると1001人以上の企業では日本が大きく上回っていますが、独国は、全社戦略として取組んでいる割合が高く日本では、部署ごとに取組んでいる割合が高いことが見て取れます。つまり、100人以下の中小企業の約半数以上(“取り組んでいない”48%、“わからない”5.1%)はDXの取組ができておらず、全社的に取り組めている割合は2割にも満たない状況です。
実はこの結果がDXの成果の実感の違いに関わってきます。



日・米・独の成果に対する感覚では、米・独ともに80%以上が成果が出ていると回答していますが、日本では57.8%にとどまっています。企業規模別を見ても、米・独はどの規模でも成果の時間が高いですが、日本では全社的に取組んでいる割合が高い1001人以上の企業以外は、55%前後にとどまりその差は30%以上あります。
DXを推進し成果を実感するためには部署単位での取組ではなく、全社的に取組むことが重要なことがわかります。また、日本では特に1001人以上の企業はDXを牽引していますが、中小企業の取組が活性化することが重要で、日本全体のDX推進を加速するためには中小企業の取組が課題であり、トリガーになることが分かります。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 『「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ』
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf

2. 中小企業のDX化が遅れる理由
独立行政法人情報処理推進機構による「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ』では、更に「DXに取組まない理由」を100人以下の企業での分析をしております。DXに取組まない理由の上位(1~5位)は下記のとおりです。

 53.0% 自社がDXに取組みメリットがわからない。
 49.0% DXに取り組むための知識や情報が不足している。
 37.9% DXを現場で推進、実行する人材が不足している。
 36.4% DXに取り組むためのスキルが不足している。
 31.8% DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している。



100人以下の企業では“DXに取組むメリットがわからない”が最も高い結果です。これは成果をどこで感じるかの各国比較を見るとわかりやすいです。



成果内容を比較すると、日本では、コスト(人件費・材料費等)削減だけが突出して高く、その他の売上・利益、顧客満足度、市場シェア向上などは米・独と比較すると大きく差が出ています。つまり日本ではDXをコスト削減目的でしかとらえておらず、米・独はコスト削減より売上・利益の向上や顧客満足度に目的があることがうかがえます。コスト削減を最大の目的とするから全社的な取り組みになりにくく、そもそもコスト削減効果が少ない100人以下の企業では、DXのメリットがわかりにくいという結果につながるのもうなずけます。
しかし、本来のDXはデジタル化・効率化によって、新たな市場や製品の開発などを行うことで売上や利益・シェア拡大を目指すものです。本来のDXの目的に立ち返って、特に中小企業は売上・利益の最大化を一番の目的として全社で取り組む姿勢が今後の日本経済を左右することにつながると思います。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 『「DX動向2025」日米独比較で探る成果創出の方向性「内向き・部分最適」から「外向き・全体最適」へ』
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf

特に従業員100人以下の会社の中では、DXやIOTに関して「難しい」「ある程度の規模がするもの」「デジタルは難しいもの」という固定概念があるのかもしれません。また職人の技術を有している会社であれば、デジタル化のイメージができない場合もあるかもしれません。しかし、人材不足や技術の後継者不足が日本の技術力の衰退を招く可能性は多くあり、日本の世界に誇る技術力を後世に残していくためにも、今やデジタルを活用することは不可欠ともいえます。また、デジタル社会が当たり前になっていく現代社会において、顧客のニーズに応えるためにも重要なものになっていきます。
特に技術力がある企業ほどデータ活用やIT技術を導入し、技術の伝承やその技術の活用を広げるための変革が求められています。企業規模にかかわらず、「難しい」「よくわからない」という固定概念を捨ててまずはできるところから一歩を踏み出すことが重要になってきます。

3. 製造業界の飛躍的なデジタル技術導入推移
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会による「企業IT動向調査2025」では、24年度の調査結果において昨年度(24年度)よりIT予算を“増加する”と回答した企業が50.9%となっており、2023年度と比較しても約2%上昇しています。更にIT投資に対する中長期的な経営課題として、1位に「業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)」、次いで「セキュリティ強化」が挙がっています。「セキュリティ強化」においては近年、ランサムウェア攻撃やサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃の増加が影響して各社の意識も向上していると推察されています。





出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会 「企業IT動向調査2025」
https://juas.or.jp/cms/media/2025/04/JUAS_IT2025.pdf

経済産業省の「2025年版 ものづくり白書」によるとデジタル技術の活用について従業員別で集計しており、“行っていない”企業は平均で22ポイントとなっており8割の企業は活用を実施していることがわかります。ここでも300人以上の企業とそれ以下の企業とで差が大きくなっており、「製造」の工程では、従業員数 50人以下の企業が 31.5%であるのに対して、従業員数 300人以上の企業では 67.9%と30ポイント以上の差が出ています。今後ますますデジタル技術の活用が企業競争上も重要な位置づけになってきていると思われます。



さらに同白書では、デジタル技術導入・活用の効果を調査しており、どの従業員規模の企業でも効果自体は感じており、“あまり効果を感じていない”“効果を感じていない”という回答の企業は1割未満になっており、デジタル技術の活用により効果実感はあることがわかります。ただし、効果を明確に感じている部分に関しては300人以上の企業が38.2%と多く、さらに効果を高めるためには他の指標にもあったように、全社的な取組にしていき、コスト削減のみを目的とするのではなく、売上・利益・シェア拡大などを長期的な視点を持って取り組んでいくことが今後は重要になってきます。



出典:経済産業省 「2025年版 ものづくり白書」
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/pdf/all.pdf

また、独立行政法人 中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」によると、製造業のDXの取組状況は2023年と2024年で「既に取組んでいる」と答えた企業は、2.8ポイント向上しており、産業の中でも情報通信業の次に既に取組みを行っている企業が多いことが分かります。また“取り組む予定はない”と答えた企業は全産業の中で最も少ないところを見ると、製造業ではDXに取組む意識が他の産業より高いことが分かります。それだけDXによる効果を感じやすくまた、必要性が高まっています。DXに取組んでいる企業と取組んでいない企業の差は今後ますます高まっていきます。



出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」
https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202412_DX_report.pdf


この結果から製造業の分野では、デジタル技術を活用している企業は今後も増加していくことが想定されます。一方で現在の活用状況は生産性の向上やコスト削減が主な内容となっているので今後はDXによる新たな製品・サービスの創出により新市場を獲得し、「事業機会の拡大」を目指すDXの取組へと進めていくことが期待されています。そのためには、製造部門のみのDXではなく、設計、開発、調達、物流、営業等の部門とも連携して全社的に取り組むことが必要になってきます。

4. 今からでもできるDX化の進め方
このようにDX化への取り組みは営業利益の向上やそれに伴った社員への賃金上昇などでの還元を行うことができ、今後確実に課題になる労働人口の減少への対応策になります。
DXに取組む企業が増える中、DXに取組めてない企業の課題について考えてみます。
中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」のDXの取組状況別の課題調査において「既に取組んでいる」「取組みを検討している」及び「必要だと思うが取組めていない」では「DX推進に関わる人材が足りない」「ITに関わる人材が足りない」が高い割合を示している。一方、「取組む予定はない」では、「何から始めてよいかわからない」が27.2%と高い割合を示している。また、「必要だと思うが取組めていない」「取組む予定はない」では、「既に取組んでいる」「取組みを検討している」に比べて「経営者の意識・理解が足りない」の割合が高くなっている。



出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」
https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/202412_DX_report.pdf

つまり現在DXに取組む予定がない企業でも経営者は必要性を理解しているが、取り組むことでの効果や成果が見えない事で予算の確保に積極的に取り組めていないのだと推測されます。
確かにDX化は一定の投資コストが必要になりますし、コストを掛けたリターンには一定の期間が必要になってきます。
そこで予算の確保という意味では、現在国も行政も様々な補助金や助成金を準備しています。補助金や助成金は金融機関の融資と違い、原則返還する必要がない資金調達方法です。しかも補助金はDX化のために制度化されているものがあるのでまずは、自社が活用できる補助金や助成金がないかの確認をしてみてはいかがでしょうか。
補助金は後払いなので、採択されたとしても一旦企業が支払いをする必要があります。しかし採択されてからの発注分しか補助対象とならないので採択されなければ実施しないという形も可能です。また採択されていれば原則補助率に応じた費用が戻ってくることになります。それを踏まえて金融機関との融資の話をすることも可能です。

また、DXでの効果や成果は確かに見えにくいと思います。一方で「見ようとしていない」または「見るための下準備ができていない」という理由が考えられます。具体的に言えば、製造工程の見える化や従業員の作業工程やその成果自体の見える化(数値化)をしておかないと、成果が見えにくくなります。例えば製造工程における歩留り率が今どの程度で何%改善すればどの程度利益向上するのかが分かっていれば投資に対するコストパフォーマンスが分かってきます。
つまり、現状の働き方や製造工程の見える化を行うことが第一歩になってきます。そのうえで改善効果が高いところを見定めて、そこを改善に使える補助金や助成金を使って投資費用を抑えながら進めていくことが重要です。


弊社では、グロサポという製造業を対象とした生産等に関するデータで未活用のデータ(以下、データ)の可視化と、データの具体的な活用方法について、専門家が定期的にアドバイスを行うサービスを実施しています。



■グロサポソリューション動画 ※クリックでYoutube動画が再生されます


※グロサポはIT補助金対象ソリューションです。

グロサポ活用の2つの事例を下記のリンクでご紹介します。是非ご確認ください。
事例1:工作機械の稼働率向上を図るためにグロサポを採用
    https://www.sem.co.jp/inet/result/detail/2

事例2:より効率的な製造ラインの運用に繋げるためにグロサポを採用
    https://www.sem.co.jp/inet/result/detail/1

  
まずは大きな費用を掛けずデータ収集を行い、効果的な改善方法を決めていき将来像と目標値を設定しながら少しづつ領域を拡大していく方が資金的にも安心ですし強く推進をしていくための確信が持ちやすいので第一歩としてデータ収集と分析から初めましょう。

5. DX人材の育成や外部活用
中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」のDXの取組状況別の課題調査において「取組んでいる」、「取組を検討している」企業の課題感で最も大きいのはIT人材やDX推進人材の不足感です。
IT人材は日本全体でも不足しており中小企業等においての中途採用は難しい可能性があります。経済産業省は2030年までに国内のIT人材が最大79万人不足する見通しも示していて、IT人材市場は売手市場になっているので中小企業が確保するのは難しいかもしれません。そのため、社内で育成することが必要となりますが、そもそも育成や勉強する時間の確保ができない場合もあります。ただ、厚生労働省は「人材開発支援助成金」などの助成金も準備されており、政府もリスキリングへの取り組みを後押ししているので上手く助成金や制度を活用しながら地道に取り組んでいくことが重要です。
また、IT等に関しては「難しい」「よくわからない」という固定概念があり積極的に取り組めない人も多いのですが、現在のIT技術は昔の様に分厚いマニュアルと睨めっこしながら進めるようなものは少なくなってきており、プログラミング知識がなくてもできるノーコードシステムも数多く出てきています。iPhoneの登場以来、説明書やマニュアルではなく直観的に触って使える機器が一般的になってきていますので、難しいという固定概念を捨てて、まずは取組んでみるというスタンスが初めに重要になってきます。
それでも直ぐには人材育成ができるわけではありません。そのような場合は積極的に外部人材や外部業者を活用することを検討した方が良いと思います。
東京商工会議所の「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」によると、40.0%が外部リソースを活用していないという結果になっています。最も活用されているITベンダーの選定で重視することの調査結果を見ると導入コストや運用コストが最も重視されているので、やはりコスト面がネックになっていることが推測されます。
現在運用されている業者の補助金では外部専門家の費用も補助対象(使える範囲)に含まれているケースが多いので、補助金を上手く活用することがポイントになるかもしれません。





出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1205203

例えば、弊社の「グロサポ」ではデータの可視化と具体的な活用方法について、コンサルタントが定期的にアドバイスを行うサービスです。このサービスはIT導入補助金の対象となっているので補助金を使うことでコストを抑えることも可能です。
※グロサポサービス動画:https://youtu.be/mezLC6_b9u4

外部リソースの活用は、自社の仕組みに組み込めるかが一番のポイントになります。そのため、外部リソースの費用は個社事に違うので調べにくいと思います。費用と自社にあっているのかを把握するためには、まずは取り合わせ話を聞いてみることが大事だと思います。
6. まとめ
ここ数年で中小企業のDXに取組み企業は多くなってきています。また、DXに取組んだ企業ではその成果を実感している企業が多いのが実情です。成果がでる可能性があっても先立つ費用が必要で足踏みしている企業も多いことが推測できますが、そのような中小企業向けに補助金や助成金が準備されています。政府や行政機関も様々な調査レポートからDXの取り組みの課題点を把握してDX推進の課題に対して補助金の補助対象を広げてくれています。補助金を上手く活用しつつ、DXに取組むことでどのような成果が期待できるのかなどを外部リソースを活用しながら調べていくことが大事ではないでしょうか。
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